愛の形
『君のボックスは……』
「マサキさん」
『ん?』
「…なんでもない」
たったニ文字、それも電話なのに言えない。
やっぱり尋常じゃない勇気が必要なんだ、伝えるのには。
『なんやなんやー』
「なんでもないですっ」
『ほんまかぁ?』
「ほんと…じゃないです」
『どっちやねん』
電話の向こうのマサキさんは笑った。
よく頭に思い浮かぶ、あの人の笑顔。
『なぁ、言ってみ?』
「む、りです」
『そう言わんと。はい、せーの』
「………」
今度は溜め息が聞こえた。
わたしだって、ほんとは言いたい。
『どうしても言えんの?』
「………」
『おーいナマエー?もしもーし』
「………」
『そろそろ怒るで?』
「………」
『なんや話す気ないんか。ほな切るで』
まずい、マサキさん怒ってしまった。
もうこうなったら…これ以上嫌われるのだけは絶対にいや。
「す、き…!」
『…は……?』
「好き、マサキさんが好き…!!」
『ナマエ?え?は?ちょ、どーいう意味…』
「どーいう意味も何もマサキさんが好きなんですってば!」
思わず声を荒げてしまう。
もうどうにでもなればいい。
さようなら、わたしの初恋。
『ナマエ』
「なんですか!?」
『一番最後のボックス見てみ。じゃ』
マサキさんはそれだけ言うと、すぐに電話を切ってしまった。
愛の形
言われた通りに一番最後のボックスに接続。
するとそこには、捕まえた覚えのないポケモンが一匹入っていた。
「ラブカス…あれ?何か持ってる」
ラブカスから預かったのは、一通のメール。
それを読んだ途端、わたしは顔が熱を帯びるのを感じた。
デートしよう
わたしは今マサキさんの所に来てる。
でも今日はいい天気、絶好の外出日和。
「ということで、デートしましょう!」
「なんでやねん」
「理由はさっき言いました」
「はぁ…」
マサキさんは溜め息をついた。
なんでデートに誘っただけなのに溜め息つかれないといけないんだろう。
「ここだとあかんの?」
「何言ってるんですか、すぐそこに有名なデートスポットがあるのに!」
「えぇー…わい外出たくな」
「さぁ行きますよ!」
「は!?ちょ…!」
わたしに何か言い続けるマサキさんの腕を強引に引っ張って小屋の外に出た。
うん、やっぱりいい天気。
「すぐそこなんですから」
「はぁ…しゃーない、行ったるわ」
「やった」
デートしよう
「ナマエ」
「はい?」
「こっち向き」
「なんです…ん……!」
「ごっそーさん」