ジュン2

宣戦布告

「くっそぉーまた負けた!」
「わたしに負けてるようじゃまだまだだよ、ジュン」
今日はジュンとポケモンバトル。
あんなこと言ったけど、本当はこの勝負、一歩間違えたらわたしの負けだった。
「俺は…」
「え?」
「俺は絶対お前を倒して、最強のトレーナーになる!覚悟してろ!」
勢いよく腕を引かれ、反射的に目を閉じる。
少しして目を開くと、わたしの視界を支配するのは閉じられた瞳。

宣戦布告

挑戦的なキスにたじろぐ自分はやっぱりまだ子供だ。
そう実感した。
彼の余裕たっぷりな表情に、不覚にもときめいた自分が恥ずかしい。


わたしの

あ、あんな所にクラボがなってる。
そういえば、なぜかわたしの相棒達はよくまひ状態になるな…。
これは頂くっきゃない。
「いっただきー!」
「あー!!」
わたしがクラボに近づいたと同時に、見慣れたオレンジが視界に飛び込んだ。
そのオレンジは今まさにわたしが手を伸ばそうとしていたクラボをものすごいスピードで奪った。
「あ、ナマエじゃん」
「ナマエじゃん、じゃない!」
「何怒ってんだよ」
「それ、わたしのクラボ!」
オレンジ…もとい幼なじみのジュンは、はぁ?と顔をしかめた。
「何言ってんだよ、たった今俺のものになったじゃん」
「違う、それわたしが予約してたの!」
「予約?お前本当に何言ってんだよ」
「もうとりあえずそのクラボ、わたしにちょうだい!」
ジュンはしれっとした顔で言った。
「やだよ、俺今これ使うし」
「うっ…」
まぁ確かにわたしは今使うわけじゃない。
でもとられるのは悔しいし…。
そうだ!
「かいふくのくすりあげるから、そのクラボと交換しない?」
「……お前まじでどうしたんだよ。クラボのみ一つになんでそんなに必死になってんだ?」
「だって…だって…………」
うぅ……特に理由は、ない…。
わたしが黙り込むと、そばから小さく呆れたような溜め息が聞こえた。
「はぁ……そんなに欲しいならやるよ」
「ほんと!?」
「うん、俺なんでもなおし使うよ」

わたしの

「ありがとう!」
「うおっ!!」
勢いよく飛びついたわたしを、ジュンはしっかり受け止めてくれた。


ファースト

リメイク作 プリメロ

ジュンはわたしにとって、何もかもが初めての相手だった。
初めての同い年。
初めての幼なじみ。
初めてポケモンを手にした時だって一緒にいたし、初めてそのポケモンで勝負した相手がジュンだった。
そして、わたしが初めて恋をした相手も、ジュン。
「ジュンが好き」
「…はぁっ!?」
「ずっとずっと好きだったの」
初めての告白。
こんなに緊張したのも初めて。
「えっと…ジュンはさ」
「…うん?」
「わたしのこと、好き?」
「…………好き、かも…」
「もっとはっきりして」
「はっきり、なぁ……」
ジュンを困らせたのも、初めてかもしれない。
「…俺はさ」
ジュンがゆっくり話し出す。
わたしは不安と期待でいっぱいになる。
「ナマエがいつも一緒にいるから、そんなこと考えたことなかった」
「…うん」
「でも、お前の笑った顔見ると…なんつーか、こう、俺も嬉しくなる。泣いた顔は……あんま見たことないけど、俺が守らなきゃって思うんだよ」
「ジュン…」
「で、今冷静に考えてみたんだけど、ナマエに好きって言われて俺すげー嬉しいし、心臓爆発しそう」
ジュンはわたしを真剣な眼差しで見た。
こんな真面目な表情、初めて見た。
「でも俺は好きとかよくわかんねーから、今は好きかもってしか言えねー…ごめんな」
「…ううん、嬉しい」
「ナマエ…」
身を寄せると、ジュンの心臓の音がよく聞こえてくる。
こんな気持ちよくなれたの、初めて。

ファースト

もう少しだけ待ってくれよ。
早くお前のことが大好きなんだって言えるようになるから。
だから、今はまだ…こうしてような。


on

今日はものすごく疲れた。
鍛えるためにこうてつじまに行ったし、何人ものトレーナーと勝負した。
それからバトルタワーでおじさん…クロツグさんにも挑戦した。
まぁつまり、とにかく疲れた。
「もう動けなーいっ」
「ナマエー!」
別荘のベッドにダーイブ!
した途端、すごい勢いで扉が開いた。
入って来たのはクロツグさんの息子でわたしの幼なじみ、ジュン。
「ナマエー!!」
「ぐっ…は………」
ベッドにうつぶせになっているわたしの上にジュンがダイブする。
わたし女の子なんですけど。
「聞いてくれよ!」
「ぐあっ」
ジュンが動くたびにわたしの内ぞ……身体は圧迫されて声が漏れる。
「なんだってんだよー、変な声出して!お前コダックかよ!」
「ど…どい………」
「あ、でさでさー!聞いて驚くなよ?ブレーンと勝負したんだぜ!!」
わたしの話なんて聞かないで、ジュンはその場で跳び上がった。
その一瞬の隙をついて、わたしはなんとかこの位置から移動しようと寝返りを打った。
だけど。
「がっ…!」
「ん?どうした、腹痛いのか?」
仰向けになったわたしの上に、再びジュンが落ちてくるだけだった。

on

なんかむしろ恥ずかしいことになった。
これって周りから見ると………。


kiss

「ジュンってさ、キスしたことある?」
「……お前さ、昔からずっと一緒にいるのにわざわざそんなこと聞くのか?」
「だよね」
安心した自分がいた。
だってわたしはジュンが好きだから。
昔からずっと、彼の背中だけを追っていた。
幼なじみというこのじれったい関係から一歩を踏み出せないのは、勇気がないから。
それから、今のジュンの瞳がわたしを見ていないからっていうのもある。
今はポケモンに夢中で、多分そんな感情忘れてるんだと思う。
「わたしもないんだ」
「だろうなー」
「なんかジュンに言われると腹立つ」
「はははっ」
ジュンが笑ったので、わたしもつられて笑顔が浮かんでしまう。
今は、このままの関係でいいのかな。

kiss

「でもさ、ナマエ」
「ん?」
「俺、お前とだったらしてみてもいいぜ」

BACK