贈りもの1

jealous boy/綱海条介(inzm11)

俺は小さいことを一々気にしない。そんなことは海の広さに比べりゃあ意味がないことだからだ。けどそんな俺が最近無性に気になることがあった。彼女の名前…と、吹雪のことだ。
「はい条介!お疲れ様!」
「おう、ありがとよ!」
練習の休憩時間。いつものように名前はマネージャー達に混じってタオルやドリンクの準備をしてくれた。手渡されたタオルで汗を拭いて、ドリンクを飲む。うん。やっぱ名前の準備してくれたドリンクは特別美味い気がする。
「名前、お前マネージャー…に……」
「名前ちゃんもイナズマジャパンのマネージャーになってくれればいいのになぁ」
「わたし面倒臭がりだからマネージャーなんて向いてないよ」
「そうかな?でもいつもこうやってタオルとかドリンクとか用意してくれるし…」
「選手のみんなが頑張ってるから、少しでも力になりたくてやってるだけだよ」
「名前ちゃんはいい奥さんになるよ」
「もー吹雪くんったら」
…まただ。また吹雪と名前があんなに仲良さそうにしてやがる。最初は全然気にしてなかった。けど、最近ずっとこんな感じだからやっぱ気にもなる。つーか、どうして吹雪はわざわざ名前からタオルとドリンク受け取るんだよ。すぐそばに正式なマネージャー達がいるだろうが。あとなんで名前も満更でもなさそうにしてんだ。納得いかねぇ。名前は俺のだ。将来は俺のいい奥さんになるんだ。吹雪なんかには絶対渡さねぇ。
「おい名前」
「ん?なに、条介」
「ちょっと来い」
「はーい」
もうこの際恥なんてのは気にしてられねぇ。それこそ、そんなことは海の広さに比べたら一ミリにも満たないくらい小さいことだ。吹雪にも名前にも、名前は俺のだってことをわからせることの方がよっぽど大事だ。
「お前は誰の彼女だ?」
「…?条介のでしょ。当たり前じゃん」
「その通りだ。じゃあどうして俺より吹雪と仲良く話してんだよ?」
「条介…もしかしてヤキモチ?」
「ばっ…そ、そんなんじゃねーよ!つーかそうだったら悪ぃのかよ!」
「どっちなの…。ううん、全然悪くない。むしろ嬉しい…ありがとう」
「は………っ!?」
名前が背伸び、して…自分から俺の頬に…キス、した…。
なんかやけに周りがうるせー気がするが、今は俺の心臓の音の方が何倍もうるさく聞こえた。ふと吹雪の方を見ると、苦笑いしてた。
俺は、勝ったんだ。

jealous boy

「相変わらず君達は見せつけてくれるよね。それにしても綱海くんが僕に嫉妬してたなんて気付かなかったな。悪いことしちゃったかも」
「でも条介のあんな一面が見れたから、わたしは感謝してるよ。ありがとう吹雪くん」
「ははは…なんか複雑だなぁ」

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妬きすぎチュー意!/ハヤト(pkmn)

なんなんだ、この感じ。
晴れやかな青空の下、生い茂る芝生の上で、俺はナマエの話をモヤモヤした気持ちで聞いていた。せっかくのピクニックが台無しだ。
「わたしのブラッキー、新しい技覚えたの」
「そうか」
「ふふ。これでまた一つかっこよくなった」
「そうか…」
嬉しそうにブラッキーを抱きしめるナマエに、つい「俺よりかっこいいか?」なんて馬鹿げた質問をしそうになった。
最近、無性にブラッキーが妬ましい。これが嫉妬というやつなんだろうか。他の男ならともかく、ブラッキーはポケモン。しかも、ナマエのパートナーだ。トレーナーがパートナーの話をするのは当たり前のこと。俺だってそうだから。それなのに、俺はポケモンに嫉妬しているのか。そう考えると、なんだか自分が惨めに思えてくる。
「そういえば、この間マツバさんがね」
前言撤回。やっぱり他の男の話も駄目だ。
「マツバさんたら、ハヤ」
「ストップ」
「…え…?」
自分でも咄嗟の行動だった。気が付いた時には、俺の人差し指がナマエの唇に触れていた。はっとした瞬間、心臓がバクバクと激しい運動を繰り返し、顔に熱が帯びるのを感じた。けれど俺の視線はナマエの唇一点に集中して、離れようとしてくれない。
「あ…と、…」
釘付けになってしまった。とても柔らかい、形のいい唇。
人差し指を離してやらないと。頭ではそう思っていても、身体は行動してくれない。それどころかどんどんナマエとの距離を埋めていってしまう。最終的に唇に人差し指を当てていた手は肩を掴んでいた。
「ハヤ、ト?」
「ナマエ…」
お互いの顔の距離が後数センチで完全に埋まるというところで、ナマエに抱かれていたブラッキーは空気を読んだように俺達の間から抜け出した。それを合図に、俺とナマエの影が一つになる。
「どうしたの、いきなり」
「…あんまり、ブラッキーの話とか、他の男の話はしてほしくなかったんだ」
「要はヤキモチだよね」
「まぁ、そうとも…言う……」
駄目だ。俺、男らしくない。
恥ずかしさでいっぱいになって顔に片手を当てていると、くすくすと笑う声が聞こえてきた。目線をナマエに移すと、笑っていたのは案の定、彼女だった。
「何がおかしいんだよ…」
「ううん。これでようやく、わたしの気持ちわかってくれたかなって」
「は?」
「わたしだってね、ハヤトのポケモンにヤキモチ妬いてたんだよ」
「…はぁ!?」
「これでおあいこね!」
一瞬の内に、俺の視界はナマエでいっぱいになったのだった。
そういえばナマエのブラッキー、どこまで行ったんだろう。

妬きすぎチュー意!

「ブラッキーが…いない……っ」
「なっ泣くことないだろ!?」
「だって、大切なパートナーなんだもん!」
「お…俺より、大切か?」
「当たり前でしょ!」
「!!」
聞かなきゃよかった。

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