デンジ1

無点灯

大人の恋って難しい。
そんなことを、ふと思った。
すっかり暗闇に慣れた目で、わたしのベッドで眠る彼、デンジを見て。
「幸せそうな顔しちゃってさ…」
彼にとってわたしは魅力的な女性なのだろうかということを、たまに考える。
今日だって勇気を出して家に招いたのに、彼はわたしに手を出さなかった。
それどころか。
『眠いから寝る』
それだけ言って勝手に人のベッドを陣取ってしまうし。
わたしは彼の眠気という欲にすら敵わないのかと思うと、少し惨めな気持ちになる。
「ばか」
緩い彼の寝顔に自分の顔をぐいと近づける。
少し開いた唇がなんだか無性に愛しくて、それがちょっと悔しくて。
自分の気持ちを隠すように、本当は感じていた寂しさを紛らわすように、彼の唇に自分のそれを重ねた。
彼がいつ起きても大丈夫なように。

無点灯

せっかく大人しくしといてやったのに、どっちがばかだよ。
こんなことをされたからには、もう我慢なんてしてやらない。


君の強さに惚れたんだ

灯台の双眼鏡からリーグを眺めていた。
「…ナマエ?」
大きな滝を上に進む人影。
よく見ると、それはつい先日ナギサのジムを訪れた少女だった。
“わたし、絶対にチャンピオンになります”
彼女なら絶対にチャンピオンになれる。
その時はもう一度勝負を持ちかけようと、俺は決心した。
次はいつ会えるか、今から楽しみだ。

君の強さに惚れたんだ

それから数日も経たずに、バトルフロンティアでの再会。
隣の友達らしき少年に少し嫉妬している自分がいるだなんて、驚いた。


ただいま

リメイク作 アカンサスの便り

「デンジ!ビッグニュースだぜ!」
「ビッグニュース?」
「嬉し泣きすんじゃねーぞ………ナマエが帰って来た!」
「ナマエが…!?」
ナギサのジムに突然の朗報。
ナマエは俺の彼女で、ポケモンの研究のために遠くの地方まで無期限の旅に出ていた。
「ナマエが…帰って、来た…」
「おいデンジ!!」
俺は夢中で走った。
あれからもう二年も経った。
俺の気持ちはちっとも変化してなくて、今でもナマエを愛してる。
ナマエが帰って来たと聞いた時はすごく嬉しかった。
…ここだけの話、オーバもナマエが好きだ。
本人は俺を気遣ってか言ってこないけど、バレバレだ。
今日の様子じゃ、オーバの気持ちも変わってないらしい。
そんなことを考えながらジムの扉の前まで全力で走った。
自動的に開く扉を抜けたと思うと、俺の身体は何かにぶつかって、倒れた。
「きゃ…!」
「ナマエ!!」
俺の下敷きになっているのはずっと逢いたかったナマエ。
二年前と全然変わってない、そう思うとなんだか目元が熱くなった。
「ナマエ…ナマエ……!」
「で、んじ…!」
名前を呼んで、何度も何度もキスをした。
頬にキスをすると、なんだか少ししょっぱかった。
「デンジ…」
ナマエが俺の耳元で俺の名前を囁く。
そして震える声で言った。

ただいま

「おかえりナマエ。愛してる」
「……お前ら…ジムの前だぞ!離れろ!」
「いやだ」
ジムから出てきたオーバの悔しそうな顔が笑えた。
もう絶対に離さない。


俺の分しかないんだ

ナマエは俺の前でよく笑う。
それと同じくらい泣く。
他の誰にも見せない笑顔と、泣き顔。
「デンジ、お疲れさま!」
「応援ありがとな」
最近は俺がジムの仕事に復帰したからか、ナマエはますますよく笑うようになった。
ナマエは勝負してる時の俺が好きだと言った。
だから、毎日飽きることなくトレーナーとの勝負を見に来る。
「わたし、やっぱり勝負してる時のデンジが好きだよ」
俺を好きだと言う声。
「ナマエ…ん」
「え、ここで!?トレーナーさんいるよ!?」
「気にすんな。早く」
キスを求めると赤くなる顔も、恐る恐る重ねてくる唇も、全部が愛しい。

俺の分しかないんだ

誰にも分けてやらない。
他のやつは知らなくていい、俺だけのナマエ。
だから、俺もお前だけの俺だよな?

タイトル提供:『Fascinating』さま


殺し文句

※微エロ

外は土砂降りの雨。
俺とナマエは、そんな外から今さっきナマエの家に駆け込んだところだ。
「へっくし!」
「寒いだろ、早くシャワー浴びてこいよ」
「いいの…デンジが先に浴びて」
さっきからこのやり取りが続いてる。
ナマエはすごく他人を尊重するから、何を言っても引かなかった。
「俺は男だから、ちょっとの寒さは平気だ。それに、お前に風邪引かれると困る」
「で、でも…」
まだ言うか、こいつ。
……あ、いいこと思いついた。
「あー、でもやっぱナマエが風邪引いても俺は別にいい」
「え…!?」
ショックと驚きが混ざったような表情をする。
「だって、寝込んでるところ襲えるしな」
「で、デンジ!?何言って…!」
「……今だって濡れた服張りついてるし、ブラ透けててすげーエロい。あ、もしかしてずっと誘ってたのか?」
「え、あ…!」
まぁ俺は病人を襲う趣味なんてないから、最初のは嘘だ。
だけど、今のナマエがエロいのは確かだし、顔を真っ赤にして肩を抱く様子も誘ってるようにしか思えない。
………やべ、興奮してきた。
「なんなら今襲ってもいいんだぜ」
「ちょ…やっ……」
押し倒すと、ナマエの顔はますます赤くなる。
………頼む、先にシャワー浴びるって言ってくれないと、俺止まらなくなる。
「これでもまだ先にシャワー浴びないつもりかよ?」
「………に……………」
「ん?」
「…一緒、に……浴びよう………?」
俺の理性は完全にぶち切れた。

殺し文句

すぐさまナマエを抱いて風呂場に向かう。
もうどうなっても知らないからな。
水は電気をよく通すんだ。
痺れさせてやるよ。

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